2006-02-04 まず日本語を Message 私が提言するのは、ロジカルで音韻の美しい日本語の名文をとにかく大量に繰り返し音読し、暗誦し、筆写するという訓練を幼児期から行うことである。「これはどういう意味か」とか「作者は何を言いたいのか」とか「この『それ』は何を指すか」とか、そんな瑣末なことはどうでもよい。名文には名文にしかないパワーがある。それに直接触れるだけで読み手の中の言語的な深層構造が揺り動かされ、震え、熱してくる。そして、論理的思考も、美的感動も、対話も、独創的なアイディアも、この震えるような言語感覚ぬきには存立しえないのである。(内田樹)