右脳の解放

スポーツサイエンティスト,衣笠泰介が日々感じること,感動した言葉,音色,風景などを思いのまま綴る. Think globally, act locally

[http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2010/08/24/20100824ddm002040110000c.html:title=体内時計:簡易測定に成功 慢性時差ぼけ解消へ一歩−−佐賀大・山口大@毎日]

 頭髪やあごひげの根元についた細胞から、24時間周期の体のリズムを刻む体内時計を動かす「時計遺伝子」の活動パターンを簡単に精度良く測定することに、佐賀大と山口大などの研究チームが成功した。体内時計の乱れは体調不良や高血圧、糖尿病などの病気の発症にかかわるため、病気の治療や予防、時差ぼけの解消などへの応用が期待される。24日付米科学アカデミー紀要で発表した。

 ◇体毛の根元の細胞採取
 時計遺伝子は20個ほどあり、体のすべての細胞内に存在する。これまで血液や口の中の粘膜の細胞で測ろうとしてきたが、手法が煩雑で精度も低かった。

 明石真・山口大教授(時間生物学)らは、体毛を引き抜くと根元についてくる毛包細胞に着目。時計遺伝子がたんぱく質を作る過程でできる物質(伝達RNA)の増減を測定すると、三つの遺伝子で24時間周期の明確な変動パターンがあった。量が最も多いピーク時刻は、早起きの人で早いなど個々の生活習慣に対応するほか、生活リズムの変化にも連動し、同じ人が3週間かけて起床を4時間早めると、ピークも約3時間早まった。時計遺伝子の増減が、高血圧や血糖値などの変動に、どのように関連するかは今後調べていく。

 さらに、自動車部品工場で早番と遅番を1週間ごとに繰り返す20〜30代の男性6人について調べると、生活リズムは約7時間ずつ前後にずれるのに対し、体内時計は2時間ほどしか変化せず、慢性的な時差ぼけになっていることが分かった。明石教授は「労働環境の改善や、体内時計の乱れが引き起こす病気の予防・診断に役立てたい」と話す。